福田上朳組 -galleryたなか1890-
えんぶり
八戸を中心に東北地方に伝わる予祝芸能の「えんぶり」
南部町のgallery田中1890さんにお誘い頂き、普段は一般公開されていない朳を見学させて頂きました。
145年ほど前から受け継がれる烏帽子を被って行われた摺り(舞い)は、とても盛り上がりました。
一部(子ども)、二部(大人)ともに楽しめ祭り好きな3歳の息子も最後まで楽しんでいました。
galleryたなか1890
普段は4月~12月の期間中、月に1回ほどのスパンにて様々な企画展を開催しています。
国登録有形文化財である田中家住宅を活用し、運営する田中夫妻が納得のいく商品を展示販売しています。
明治23年に建設され、現在では中々利用できない立派な松の梁などが現しで使用されていたり、畳1畳ほどの大きな神棚があったり、とても趣のある建物です。
展示期間や内容は毎年入れ替わるので、事前にSNSなどで調べてからの訪問頂ければと思います。
galleryたなか1890
〒039-0815
ブナ林を映すトイレ
青森県の八甲田山、ブナ林で囲まれた森の中に「グランピングと乗馬」をコンセプトにした宿泊施設の計画があります。その森の中に計画している公衆トイレのプロジェクトです。
自然を楽しむ人々が利用する施設のため、なるべく木を切らない建物の配置ついて考えました。敷地を見ながら開けた場所を探し、林立するブナの間を縫っていくカーブした建物です。
このブナ林は四季に応じて様々な景色を見せます。
そこで外装材は周囲の景色を映し込む素材としてステンレスを計画しました。
建築のカーブした反射する境界と自然の時間的な変動が掛け合わさることで、ただの自然とは異なる抽象的な風景を作り、訪れる人々の印象に残るような体験を期待しています。
圧倒的な自然の中にいると、建物の中と外はどうしても別々の世界になってしまいます。自然>建築として開かれた建物を作る、建築>自然として力強い建物を作る。そのどちらでもなく、自然に依存しつつも建築としての強度を保つことで、自然と建築が優劣無く互いに補完し合う関係性を生み出せるのではないかと考えました。
東北のしごと / GALLERY WAA
「東北のしごと」は令和元年に私たち渡部環境設計事務所が運営を始めたちいさなギャラリーです。
なぜ設計事務所がギャラリーを始めたのか?
「東北のしごと」というギャラリーの運営を始めるキッカケとして、大きく3つの要因があるので、そんなキッカケについてご紹介できればと思います。
■青森県内で多く開催されるイベント
2016年、青森県の十和田市に移住し、県内で開催されるイベントが多いことに驚きました。青森という地域の特徴を活かした飲食や各種手仕事など、様々な表現を見るのが楽しく、何度となく足を運びました。〇〇マルシェ、〇〇市、〇〇フェスなど、数多くの出店者が様々なジャンルの創作物を出店しています。
そんな中「良いな」と思い、もっと様々な商品を確認したく尋ねても、店舗を持たずにイベント出店やNET販売を中心に活動されている方々が多くいることを知ります。実店舗を持つことによる経費を考えると、現実的ではないという結論に至るようです。
それであれば、私たちが「良いな」と思う出店者の方々にお声がけをして、定期的に自分たちの創作活動を発表できる場があれば、需要はあるのかなと考えました。
私たちも好きなものを皆さんに紹介できる場にもなりますし、お声がけする方も新たな出会いのチャンスが広がるキッカケとなります。 その様な場を「東北のしごと」というギャラリーで実現できればと思い、事務所の一角に小さなスペースを用意しました。
「東北のしごと」という名前について
十和田に移住し様々な東北にまつわる伝統工芸などに触れる機会が増えました。東京にいると分からなかったことも多いですが、その地域の暮らしや環境に影響を受けてできているものばかりです。さらに、伝統工芸以外にも地域性を反映したり影響を受けた現代的な表現も数多く出会いました。そのような地域性による面白さを「東北」というくくりで、伝統工芸のみならず現代的な多様な表現も含め「しごと」という言葉で表現しています。
■開くとは?
建築家はよく「建物をまちに開く」という言葉を使います。
歩くことが楽しいと感じるまち、そうでないまち、違いは何でしょうか?もちろん個人差はあると思いますが、目に見えて気になる場所に気軽に入れる事も、楽しさに繋がっているのかなと思います。
塀に囲われていたり、特定の人しか利用できない閉じた建物が多い閉鎖的な環境では、楽しいとは感じられません。もちろん何でもかんでも開けば良いということでもありませんが、住宅ですらまちに開かれていることがあっても良いのかなと感じています。
ただ、簡単に「開く」と言っても、開くことによるリスクやストレスもあるのかもしれません。今回「東北のしごと」というギャラリーを併設し自宅件事務所の一角を開くことにしたは、そのリスクやストレスを設計者の立場ではなく、建物の運営者としての立場で体験する試みです。そこで得られた体験を通して、ちょうど良い開き方を自分たちなりに見つることができれば、本業である設計に反映することもできるのかなと考えています。
また、特定の方ではなく、なるべく多くの方が気軽に足を運べることも「開く」ということに繋がるのではないかと考え、展示のジャンルも幅を持たせています。多種多様な人の好みに、一つの展示で対応するのはとても難しいと思います。そこで、展示期間は2週間程度を目安として1~2ヶ月毎のスパンでテーマを変えていくことで、「前回は違ったけど、今回のテーマなら行ってみたい」という状況を創り、気になる時だけ気軽に足を運べる場所にできればと考えています。
そのように個人の提供する開かれた場のあり方が、新しい時代の「公共性」に繋がるのではないか?という仮説を立て実証していく場でもあります。
■能動的に
私たちの本業である建築の設計は、多くの場合依頼を受けてからプロジェクトがスタートします。誰からも依頼が無いのに、勝手に提案を行うことはほとんどありません。
もちろん、日々インプットしている中で、頭の中(抽象的な世界)ではどのような建築が良いか常に考えてはいますが、、、設計依頼があり要望をお伺いしたうえで、その要望に応える形で初めてアウトプットとして形にすることができます。
このような働き方をしていると、誰から求められるでもなく、自分たちの意思で能動的に何かを提案・発表・運営していきたいという意識が芽生えてきました。
「東北のしごと」はそのような私たちの能動的な活動の場でもあります。事務所の一角というとてもプライベートなギャラリーでもあるため、何でもかんでも展示するというスタンスではありません。もちろんジャンルは問いませんが、ギャラリーの名前にもあるよう「東北」に関連する人や表現、趣味ではなく「しごと」レベルのクオリティ、そして何よりも大切なのは、私たち二人が「良いな」と感じるもの。
良いと感じるものは、誰に言われるでもなく、多くの人に紹介したくなります。そして、私たちが「良いな」と感じるものを通して、私たちらしさも表現できるかもしれません。「東北のしごと」は、展示する内容を通して私たちらしさを表現する鏡のような存在でもあるのです。
終わりに
以上のような3つの考えをキッカケに「東北のしごと」というギャラリーを運営し始めました。数年は試験的な運営になるかもしれませんが、運営しながら見えてくる課題や成果を都度反映しながら少しずつブラッシュアップしていければと考えています。
最初の目標は、「あそこのギャラリーは毎回面白い展示をしているな」という状況を創ることです。そしてその先には新たなコミュニティの形成があると考えています。
同じ時間に訪れた人のことは、どうしても無視できないというちいさなギャラリーならではの特徴があります。知り合いとたまたま会って、展示終わりでお茶しに出掛ける。リピーターやたまたま来た方などが、このギャラリーで知り合いになり、新たなコミュニティが生まれる。展示を通してそんな人と人の出会いが生まれる場になることを願い、運営をしていければと考えています。
東北のしごと / GALLERY WAA
〒034-0012
駐車スペース有(2~3台)
※展示は不定期にて行われています
詳しい展示情報は下記のFacebookページにてご確認下さい
移住したから分かる十和田の魅力:2018年11・12月の八甲田、奥入瀬渓流、十和田湖付近の風景
十和田の自然の魅力:2018年11・12月
個人的な体験をもとにした小さな世界ではありますが、観光名所だけではない十和田の自然の豊かさを、ガイドブックに載っていないような場所を中心に紹介できればと思います。
今回は2018年の11・12月の風景です。この時期の十和田は、八甲田付近では雪が降り始めます。奥入瀬渓流では、紅葉時期の混雑が嘘のように閑散とし、川の所々で飛沫氷ができはじめます。
十和田市内では、12月に1~2回ほどまとまった雪が降るのが例年通りとなっています。
11月
空が澄んでいる十和田湖の様子です。
葉が落ちて、足元のシダ植物が良く見えます。流れの緩やかな沼では落ち葉の防波堤ができます。
11月も下旬になると、八甲田の山頂付近では雪が降り始めます。次第に沼も凍り氷上を歩けるようになります。
この日は風も無く、動かない水面や葉が落ちて動かない木々が冬の冷たい空気を感じさせます。
12月
日中溶けては、朝晩で凍ることを繰り返します。毎日のように新しい飛沫氷が現れます。
年が明け、1~2月に入ると凍った飛沫氷の上に雪が積もります。凍りたての飛沫氷を見れるのもこの時期の醍醐味です。
真っ赤に燃える朝日が、色の無い冬景色に花を添えます。
終わりに
森を歩く熊も冬眠に入り、積もった雪を通して普段歩けない場所を歩くことができる。行動範囲が変わる季節の始まりです。紅葉と冬の間の中途半端な時期にも思えますが、凍りかかる沼など、この時期でしか見れない景色もあります。冬の始まりとはいえ、とても寒いので、しっかりと防寒対策をして出かけてみて下さい。
移住したから分かる十和田の魅力:2018年10月の八甲田、奥入瀬渓流、十和田湖付近の風景
十和田の自然の魅力:2018年10月
個人的な体験をもとにした小さな世界ではありますが、観光名所だけではない十和田の自然の豊かさを、ガイドブックに載っていないような場所を中心に紹介できればと思います。
今回は2018年の10月の風景です。この時期の十和田は、なんと言っても紅葉です。ただ、有名になってしまった景勝地では、オーバーツーリズムで人にも自然にもストレスフルな状態になっています。
ちょっと足をのばすことで、人も少なく自然を満喫できる場所がたくさんあります。
10月
風が少ない日は、雲海と紅葉をセットで楽しめます。
雲(霧)の中も幻想的です。
標高差があることから、山頂で紅葉のピークを楽しみ、裾野で夏の終わりを楽しむこともできます。
山頂では10月の初旬頃から葉が色付き始めます。
星の見える時間帯から1時間ほどトレッキングをして到着する沼。沼の放射冷却による気嵐と朝日が昇る前のブルーモーメントが重なると、しっとりとした秋を感じられます。
日が昇ると沼の透き通った水が青く映り、紅葉とのコントラストがきれいです。
稲刈りの終わった田んぼには毎年白鳥が飛来します。
秋晴れの日は十和田湖が青く澄んで清々しいです。
八甲田の二次林では、落葉と共に視界が広がります。足元の笹の緑と紅葉の相性がバッチリです。
奥入瀬渓流では、数多くの滝が有名ですが、名もなき場所にも倒木などが作り出す、その年ならではの表情があります。
終わりに
紅葉がピークになると、景勝地では観光バスや車がひしめき合い、駐車はおろか移動すらし難い状況が続きます。あえてそんな景勝地以外に行くことで、自然とゆっくりと向合える素晴らしい時間を過ごすことができます。多分それは、混雑した場所で楽しむものとは一味違った体験として心に残ると思います。
次回は雪が降り始める11月と12月の様子をお伝えします。
移住したから分かる十和田の魅力:2018年9月の八甲田、奥入瀬渓流、十和田湖付近の風景
十和田の自然の魅力:2018年9月
個人的な体験をもとにした小さな世界ではありますが、観光名所だけではない十和田の自然の豊かさを、ガイドブックに載っていないような場所を中心に紹介できればと思います。
今回は2018年の9月の風景です。この時期の十和田は、夏が終わり秋に向けて過ごしやすい日々が続きます。収穫を待つ田んぼの美しい風景や十和田市が一番盛り上がる秋祭りも開催されます。
奥入瀬渓流付近では、 アブやハチなどの虫も減り始め気持ちよく散策を楽しめます。
9月
八甲田のグダリ沼ではバイカモの小さくて白い花も咲き始めます。
澄んだ湧き水に揺れるバイカモを見ているととても癒されます。
十和田市内では3日間に渡って秋祭りが開催されます。
元々は八戸の三社大祭の山車を借りてきて始めたようですが、道路交通法などの規制により、今では各町内会で製作しています。
お囃子の方々も一緒に山車に乗って引っ張るスタイルが多く、お囃子はテンポが速く勢いがあります。
この時期は八甲田に月夜茸(ツキヨタケ)という発光キノコが発生します。
肉眼では光って見えませんが、カメラを用いて長時間露光すると蛍光色に光ります。
一見食用のキノコと似ていますが、毒キノコなので注意も必要です。
奥入瀬渓流の源流では、紅葉前の最後のグリーンシーズンを楽しめます。
台風なども来なくなり、澄んで青々とした水を楽しめます。
9月も後半になると、市内ではちょうど田んぼが収穫の時期を迎えます。
黄金の海原のような風景がとても綺麗です。
終わりに
十和田市の人口は年々減少傾向にありますが、秋祭りの時期だけ戻ってくる若者も多くいます。県内の有名な祭りに比べると規模も小さく観光客が来るような祭りではありませんが、祭りの時期は「十和田ってこんなに人がいたかな?」というほど多くの人で賑わいとても活気があります。
いつもとは違う十和田の顔を見れるので、ぜひ一度遊びに来てもらえればなと思います。
次回は10月の十和田の紅葉シーズンの魅力をお伝えできればと思います。
移住したから分かる十和田の魅力:2018年7・8月の八甲田、奥入瀬渓流、十和田湖付近の風景
十和田の自然の魅力:2018年7・8月
個人的な体験をもとにした小さな世界ではありますが、観光名所だけではない十和田の自然の豊かさを、ガイドブックに載っていないような場所を中心に紹介できればと思います。
今回は2018年の7月・8月の風景です。この時期の十和田の魅力は、様々な花が咲き粘菌なども多く増えます。また、十和田湖や市内での花火大会もあります。同じ十和田市で2回も花火を楽しむことができます。
7月
ハルジオンやアジサイが咲き始めます。
普段は中々気づくことも無いと思いますが、足元の世界をよく見ると様々な種類の変形菌が活動している様子を確認できます。
霧も奥入瀬渓流を泳いでいるようです。
8月
十和田市内での花火の様子です。
街の中心にある芝生の公園から花火が打ち上げられます。
早朝、朝日の昇る前の奥入瀬渓流の散策は、長袖でも丁度良いです。
終わりに
夏と言っても、夜中まで暑いのはほんの2~3週間程度。日中はそれなりに暑いですが、朝晩には涼しくなり、窓を開ければ気持ちの良い風が吹く季節です。
8月は青森県が全国的にも有名な祭りの時期になります。有名な祭りは8月1週目にほとんど開催されますが、祭りの時期が終わると青森の短い夏が終わる、という感覚で徐々に涼しくなっていきます。移住当初はこれから本番では?と思っていましたが、お盆過ぎくらいから本当に半そででは肌寒い日も出てきます。
青森に遊びに来る際は、ぜひ長袖持参で涼みに来ていただければと思います。
次回は、十和田市が一番盛り上がると言っても過言ではない、秋祭りのある9月の様子をご紹介します。