日々の暮らしと建築と

知り合い0で十和田に移住した株式会社WAAの日々

東北のしごと / GALLERY WAA

「東北のしごと」は令和元年に私たち渡部環境設計事務所が運営を始めたちいさなギャラリーです。

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なぜ設計事務所がギャラリーを始めたのか?

「東北のしごと」というギャラリーの運営を始めるキッカケとして、大きく3つの要因があるので、そんなキッカケについてご紹介できればと思います。

 

青森県内で多く開催されるイベント

2016年、青森県十和田市に移住し、県内で開催されるイベントが多いことに驚きました。青森という地域の特徴を活かした飲食や各種手仕事など、様々な表現を見るのが楽しく、何度となく足を運びました。〇〇マルシェ、〇〇市、〇〇フェスなど、数多くの出店者が様々なジャンルの創作物を出店しています。

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そんな中「良いな」と思い、もっと様々な商品を確認したく尋ねても、店舗を持たずにイベント出店やNET販売を中心に活動されている方々が多くいることを知ります。実店舗を持つことによる経費を考えると、現実的ではないという結論に至るようです。

それであれば、私たちが「良いな」と思う出店者の方々にお声がけをして、定期的に自分たちの創作活動を発表できる場があれば、需要はあるのかなと考えました。

私たちも好きなものを皆さんに紹介できる場にもなりますし、お声がけする方も新たな出会いのチャンスが広がるキッカケとなります。 その様な場を「東北のしごと」というギャラリーで実現できればと思い、事務所の一角に小さなスペースを用意しました。

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「東北のしごと」という名前について

十和田に移住し様々な東北にまつわる伝統工芸などに触れる機会が増えました。東京にいると分からなかったことも多いですが、その地域の暮らしや環境に影響を受けてできているものばかりです。さらに、伝統工芸以外にも地域性を反映したり影響を受けた現代的な表現も数多く出会いました。そのような地域性による面白さを「東北」というくくりで、伝統工芸のみならず現代的な多様な表現も含め「しごと」という言葉で表現しています。

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■開くとは?

建築家はよく「建物をまちに開く」という言葉を使います。

歩くことが楽しいと感じるまち、そうでないまち、違いは何でしょうか?もちろん個人差はあると思いますが、目に見えて気になる場所に気軽に入れる事も、楽しさに繋がっているのかなと思います。

塀に囲われていたり、特定の人しか利用できない閉じた建物が多い閉鎖的な環境では、楽しいとは感じられません。もちろん何でもかんでも開けば良いということでもありませんが、住宅ですらまちに開かれていることがあっても良いのかなと感じています。

ただ、簡単に「開く」と言っても、開くことによるリスクやストレスもあるのかもしれません。今回「東北のしごと」というギャラリーを併設し自宅件事務所の一角を開くことにしたは、そのリスクやストレスを設計者の立場ではなく、建物の運営者としての立場で体験する試みです。そこで得られた体験を通して、ちょうど良い開き方を自分たちなりに見つることができれば、本業である設計に反映することもできるのかなと考えています。

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また、特定の方ではなく、なるべく多くの方が気軽に足を運べることも「開く」ということに繋がるのではないかと考え、展示のジャンルも幅を持たせています。多種多様な人の好みに、一つの展示で対応するのはとても難しいと思います。そこで、展示期間は2週間程度を目安として1~2ヶ月毎のスパンでテーマを変えていくことで、「前回は違ったけど、今回のテーマなら行ってみたい」という状況を創り、気になる時だけ気軽に足を運べる場所にできればと考えています。

そのように個人の提供する開かれた場のあり方が、新しい時代の「公共性」に繋がるのではないか?という仮説を立て実証していく場でもあります。 

 

■能動的に

私たちの本業である建築の設計は、多くの場合依頼を受けてからプロジェクトがスタートします。誰からも依頼が無いのに、勝手に提案を行うことはほとんどありません。

もちろん、日々インプットしている中で、頭の中(抽象的な世界)ではどのような建築が良いか常に考えてはいますが、、、設計依頼があり要望をお伺いしたうえで、その要望に応える形で初めてアウトプットとして形にすることができます。

このような働き方をしていると、誰から求められるでもなく、自分たちの意思で能動的に何かを提案・発表・運営していきたいという意識が芽生えてきました。

「東北のしごと」はそのような私たちの能動的な活動の場でもあります。事務所の一角というとてもプライベートなギャラリーでもあるため、何でもかんでも展示するというスタンスではありません。もちろんジャンルは問いませんが、ギャラリーの名前にもあるよう「東北」に関連する人や表現、趣味ではなく「しごと」レベルのクオリティ、そして何よりも大切なのは、私たち二人が「良いな」と感じるもの。

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良いと感じるものは、誰に言われるでもなく、多くの人に紹介したくなります。そして、私たちが「良いな」と感じるものを通して、私たちらしさも表現できるかもしれません。「東北のしごと」は、展示する内容を通して私たちらしさを表現する鏡のような存在でもあるのです。

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終わりに

以上のような3つの考えをキッカケに「東北のしごと」というギャラリーを運営し始めました。数年は試験的な運営になるかもしれませんが、運営しながら見えてくる課題や成果を都度反映しながら少しずつブラッシュアップしていければと考えています。

最初の目標は、「あそこのギャラリーは毎回面白い展示をしているな」という状況を創ることです。そしてその先には新たなコミュニティの形成があると考えています。

同じ時間に訪れた人のことは、どうしても無視できないというちいさなギャラリーならではの特徴があります。知り合いとたまたま会って、展示終わりでお茶しに出掛ける。リピーターやたまたま来た方などが、このギャラリーで知り合いになり、新たなコミュニティが生まれる。展示を通してそんな人と人の出会いが生まれる場になることを願い、運営をしていければと考えています。

  

東北のしごと / GALLERY WAA

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〒034-0012

青森県十和田市東一番町3-22

駐車スペース有(2~3台)

※展示は不定期にて行われています

詳しい展示情報は下記のFacebookページにてご確認下さい

https://www.facebook.com/GALLERYWAA/