日々の暮らしと建築と

知り合い0で十和田に移住した株式会社WAAの日々

知り合い0で十和田に移住して苦労したこと、助かったこと:友達編

知り合いが全くいない町にいきなり移住しても暮らしていけるの?

今回は十和田に移住してからの今までの2年半の暮らしについて、お話しできればと思います。今では移住2ヶ月後に生まれた長男も2歳半になりました。

 

・知り合いゼロから友達できるの?

・生活は成り立っているのか?

など、これから移住を考えている方々の不安になっている部分について、私たちの場合はどうだったかを書くことで、少しでも参考になれればと思います。

今回は友達編ということで、どのように人の繋がりができたのか、振り返ってみようと思います。

 

移住までの流れ

私たちは、移住前にそれぞれ別の事務所で建築の設計をしていました。結婚をキッカケに夫婦で一級建築設計事務所を開設して一緒に働こうとしていました。

 

また、同じタイミングで横濱家がお父さんの定年を機に、故郷である青森県野辺地町にUターン(高校生ぶり)することになり、その住宅を横濱が設計して、完成間近でした。

渡部環境設計事務所|watabe and associates / environmental design and architecture

 

そのようなタイミングで、住宅の建設に携わる方々を通して青森県の建築関係の知り合いができ、青森県は建築家が少ないから、こっちで開業してみたら?」という軽いお誘いを真に受けて、1年後くらいには本当に移住していました。

 

ちなみに私たち夫婦はどちらも十和田には縁がなく、野辺地の家の現場監理をしながら、建築的にも行ってみたかった西沢立衛さんの十和田市現代美術館を見に行く、というのが初めての十和田訪問でした。隈研吾さんのトワーレもできたてで、これから安藤忠雄さんの図書館もオープンするというタイミングで、建築家目線ではとても面白い街だなとの印象を持っていました。

 

今では、市役所が移住促進で企画しているお試し移住のできる企画などもありますが、、、多分私たちが移住を検討している際は、その様な企画もまだ整備途中だったので、飛び込みで入った不動産屋さんに町の特徴などを聞きながら、どの辺に住んだら子育てや仕事がしやすいか考えていました。

 

移住を決めるまでの詳しい情報は、下記のインタビュー記事も合わせてご覧頂ければと思います。

私たちのほかにも十和田に移住されている方々は沢山います。お仕事も様々なジャンルの方がいるので、そちらを見るもの面白いと思います。

十和田市さんの移住サイト、「日々コレ十和田ナリ」のインタビュー記事

towada-iju.com

灯台もと暮らしさんの「十和田市特集」のインタビュー記事

motokurashi.com

 

移住後半年くらいの流れ

一番最初は、やはり友達が一人もいないまちで暮らすことへの不安があると思います。

休日に友達に会って食事でもとりながら、たわいもない会話を楽しむ。という今まで当たり前だったことは全然なく、、、そんな日常を共有できる友達がいないとストレスも貯まる一方、となりそうですが、、、

私たちの場合は、どちらかというと楽しく過ごせていたように思います。その一番の要因は、移住して2ヶ月後に出産予定日だったということがあります。

どこの家庭でも同じだと思いますが、出産の直前は産休を取り、家でゆっくり過ごすという過程を経験すると思います。移住と出産までの期間が短かったことで、ちょうど田舎の実家に帰るような感覚にも似ていて、その間の2ヶ月はとてものんびりと過ごせました。

友達がいない不安よりも、初めての出産に対する不安や期待が大きかった。また、出産後は自然に同年代の子を持つママ友ができるだろう、という期待もあり、ワクワクしていたようにも思います。

 

出産後は、子供中心の生活となり、友達がいないストレスなども感じていませんでしたが、、、「あれ?結局外に出ないと友達もできないよね」となり。赤ちゃんと参加できるママヨガに参加することになりました。

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そこは、0~1歳程度の赤ちゃんをもつお母さんが15人程度参加するヨガで、隔週くらいの間隔で開催されていました。ヨガの最中は、子育て支援の方々が子供の面倒を見てくれます。また、ヨガ講師の安斉香さんも私たちより6年前に移住した移住の先輩でした。何度か参加をすると少しずつママ友達や出産を機にUターン移住をしてきた友達もできるようになってきました。

 

十和田市の移住事業「日々コレ十和田ナリ」

そして状況が大きく変化したのは、地域の町内会が開いている夕涼み会に参加した時のことです。

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同じ町内会に小沢さんという写真家の方がいて、お話をしていると「面白い人が引っ越して来たってことを、役所に紹介しなきゃ!」と話が進み、、、次の週には役所に掛け合ってくれていました。

小沢さんは役所に友達がいて、その方に紹介してくれるのかな?と思っていたのですが、、、知り合いなど1人もいないけど、移住促進をしている政策財政課に宣伝をしてくれました。

後日、小沢さんも交え役所に行くと、「現在移住促進のための企画を進めているので、可能であれば協力して欲しい」との依頼を受けることになります。

 

そうして、先にも紹介した十和田市の移住特集の「日々コレ十和田ナリ」という企画のインタビューを受けることになりました。

towada-iju.com

 

まだ、十和田では仕事の実績がありませんでしたが、取材対象に選んで頂くことで、少しでも多くの方に私たちのことを知ってもらうキッカケになっていて、本当に助かりました。(後日、この記事をキッカケに仕事依頼された方もいます)

その時担当だった、政策財政課の職員の方々は、今でもお付き合いのあるとても親身な方々だったことも幸運でした。「仕事」という垣根を越えて、プライベートでもお話しする機会があるなど、十和田が地元の友人としてとても助けてもらっています。

 

「字と図」の二人との出会い

また、この「日々コレ」を通してもう一つステキな出会いがありました。

それは、同じく取材の対象であった「字と図」の吉田家の皆さんとお友達になれたことです。

jitozu.com

ライターの千枝子さん(字)と、グラフィックデザイナーの進さん(図)の二人で「字と図」というユニットを組み活動されています。十和田は千枝子さんの故郷ということもあり、私たちよりも3年ほど早く十和田に移住していました。

 

デザイン関係ということで、私たち親同しの興味の幅も近かいということもありますが、何よりも良かったのは、吉田家にも私たちの息子と同じ年の子供がいる(小学生の長女と、1歳の長男)ということで、次第に家族ぐるみで親しくなりました。

 

吉田家が十和田に来た際には、同じように移住してくる人も少なかったようです。進さんは、もともと東京でグラフィックデザインの会社を経営していましたが、地方ではデザインの仕事なんて無いよね?との思いから、家族を養うために鳩正宗という地元の酒造に就職するなど、決して楽な生活では無かったといいます。

しかし、進さんの持ち前の社交性や千枝子さんの幼いころからの友人を通してどんどん友達が増え、少しずつデザインやライターの仕事をもらえるようになったようです。その後2年ほど勤めた鳩正宗の仕事を辞め、個人から企業・行政までの仕事をこなす県内でも有数のデザインユニットになっています。

 

そんなお二人に出会えたことで、色々な面白い友達を紹介頂き、知り合いの幅はどんどん増えていきました。

 

シャベリ場屋台

また、移住1年目の冬、11月頃から定期的に始まったイベントがあります。

それは松本茶舗さんという、普段は旧4号線のアーケード街で、茶器の販売などをしているお店の店先で、月に1回のペースで開かれる夜会です。

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大体夜の7時~10時くらいで開かれ、ルールは一つ、一人一品食べ物でも飲み物でも良いので持ってくるというものです。いつ来ても帰っても良く、たまに通りを歩いている知り合いや見ず知らずの他人を巻き込んだり、とてもカジュアルなイベントです。

 

ヨガでお世話になった安斉香さんの旦那さんの将さんは、奥さんに連れられIターンにて移住してきて、イラストレーターとしてのお仕事をされています。その安斉さんが、ウマジンという被り物(コミュニケーションツール)を製作し十和田のまちを盛り上げるのに一役買っています。その安斉さんのウマジンを店内に展示している縁もあり、仲の良いお二人が組んで、このような夜会を開催することになり、私たちも声をかけて頂くことになりました。

 

最初は安斉さんや松本さんの友達が集まる小さな交流の場だったのですが、次第にこの屋台の話が人づてに広まり、私たちのような移住者や地元の方など多様な方々が集まるようになりました。いつ行ってもおなじみの方にお会いできたり、初めましての知らない方に出会えたり、とても変化に富んだイベントです。

 

十和田の冬は寒く、、、氷点下になることもありますが、、、1年以上経つ今でも続いているのは、その様なカジュアルさかもしれません。

 

最後に

こうして振り返ってみると、なんだかタイトルでは苦労したこともあるような雰囲気ですが、、、あまり苦労することなく、良い出会いに助けられながら、友達のネットワークを築けて来たのかなと感じています。

 

移住前から、地方都市は人口が少ない分、人と人の結びつきが強いという印象をもっていました。誰かキーになるような面白い人と出会えると、その方のネットワークに参加する形で友達の輪が広がる。そのようなイメージで一気に増えていった印象です。

私たちにとっては、吉田さんや安斉さんのような先輩移住者がキーになって下さり、それぞれが独自の面白い友人ネットワークをもっていることにも、とても助けられています。

 

また、その様な場に参加する際に、「私たちはこうゆう人です」と自分をPRできることも重要かと思います。たまたま建築家という職業で独立しているような方が少ないまちだったので、新しいジャンルが来たな!という感じで受け入れてもらったのも大きかったと感じています。

 

また、まちによっても人柄というのは違うのかもしれません。人と人の結びつきが強すぎて、地縁を大切にするようなまちでは、移住者はよそ者として煙たがられるかもしれません。私たちが移住した十和田は、まちができてから150年程度と歴史も浅く、そもそも移住者の集まりのようなまちでもあるためか、よそ者にも温かく対応してくれます。(私たちが出会った人が、たまたま温かい方ばかりだったのかもしれませんが、、、)

 

いずれにせよ、移住して最初に友達がいないのは当たり前です。まずは人が集まる場に参加して積極的に話しかける、そんな勇気があれば自然と友達も増えていくのだと思います。その中からキーになるようなステキな出会いがあれば嬉しいですね。

もしかすると引かれたり、いやな思いをすることもあるかもしれませんが、その様な行動を繰り返しているうちに、良い出会いはやってくるのだと思います。

 

「苦労したこと助かったこと(仕事編)」へ続く。。。